【経営・社員目線】外国人労働者を雇用するメリットとデメリットを解説!

はじめに

深刻化する人材不足への対応として、外国人労働者の受け入れを検討する企業が増えています。実際に、日本で働く外国人労働者は2024年10月末時点で230万人を突破し、過去最多を更新しました。(※1)

しかし「外国人材を雇用すべきか迷っている」「メリットとデメリットをしっかり理解してから判断したい」という経営者や採用担当者の方も多いのではないでしょうか。

外国人労働者の受け入れには、人材不足の解消や若い労働力の確保といった大きなメリットがある一方で、在留資格の手続きや文化の違いへの対応といった課題も存在します。本記事では、経営者目線と従業員目線の両方から、外国人労働者を雇用するメリットとデメリットを詳しく解説します。

採用を検討する際の判断材料として、ぜひ参考にしてください。

外国人労働者の受け入れ状況【2025年最新データ】

日本における外国人労働者数の推移

厚生労働省が2025年1月31日に公表した「外国人雇用状況の届出状況」によると、2024年10月末時点での外国人労働者数は230万2,587人となり、前年比25万3,912人増加しました。増加率は12.4%で、届出が義務化された2007年以降、過去最多を更新しています。(※1)

外国人を雇用する事業所数も34万2,087所と過去最多を記録し、前年比2万3,312所増加しました。増加率は7.3%で、大企業だけでなく中小企業でも外国人材の活用が広がっていることがわかります。

長期的に見ると、2012年には約68万人だった外国人労働者数が、わずか12年間で3.4倍に増加したことになります。少子高齢化による労働力人口の減少が続く中、外国人材は日本の労働市場において不可欠な存在となっています。

特定技能制度の現状

人材不足が深刻な産業分野で外国人材を受け入れる特定技能制度は、2019年4月の開始以降、着実に受け入れ人数を伸ばしています。

2025年5月末時点での特定技能外国人の在留者数は32万1,740人に達しています。(※2)特定技能1号では即戦力として働くことができ、最長5年間の就労が可能です。また、特定技能2号では在留期間の上限がなく、家族の帯同も認められています。

特定技能制度は16分野で受け入れが可能で、介護、建設、製造業、農業、飲食料品製造業など幅広い業種で活用されています。転職が可能であることや、技能実習からの移行ルートが整備されていることも、この制度の大きな特徴です。

国籍別の受け入れ状況

2024年10月末時点の国籍別では、ベトナムが最も多く57万708人(全体の24.8%)、次いで中国が40万8,805人(17.8%)、フィリピンが24万5,565人(10.7%)となっています。(※1)

近年の増加率に注目すると、ミャンマーが前年比61.0%増、インドネシアが39.5%増、スリランカが33.7%増と、東南アジアからの労働者が大幅に増加しています。国籍の多様化が進んでおり、企業は様々な国の人材から選択できる状況になっています。

産業別の受け入れ状況

産業別では、製造業が最も多く32.0%を占めています。次いでサービス業(他に分類されないもの)、卸売業・小売業、建設業と続き、上位4産業で全体の約3分の2を占めています。

特に注目すべきは、宿泊業や飲食サービス業における外国人労働者の増加です。コロナ禍からの回復に伴い、訪日外国人観光客が増加する中、これらの業種では外国語対応ができる人材の需要が高まっています。

【経営者目線】外国人労働者を雇用する5つのメリット

経営者の立場から見た場合、外国人労働者の雇用には以下の5つの大きなメリットがあります。

1. 人材不足の解消と安定した採用が実現できる

日本国内の労働力人口は年々減少しており、多くの業界で深刻な人材不足に直面しています。特に介護業界では、2040年度までに57万人もの介護職員が不足すると予測されています。(※3)

外国人材を採用することで、日本人だけでは確保できない人材を補うことが可能になります。募集の対象を日本国内だけでなく海外にも広げることで、求職者の母数が圧倒的に増え、安定した採用活動が実現します。

特定技能制度を活用すれば、専門的な知識と技術を持った即戦力人材を確保できます。海外の教育機関と提携している人材紹介会社を利用すれば、継続的に質の高い人材を採用することも可能です。

2. 若い労働力の確保で現場の活性化につながる

外国人労働者の多くは20代から30代の若い世代です。厚生労働省の調査によると、外国人労働者の年齢分布は20代に大きな山があり、日本人労働者と比較して若年層に偏っています。(※4)

若い人材が職場に加わることで、現場に活気が生まれます。特に介護や建設などの体力を要する業務では、若い外国人材が夜勤や重労働を担当することで、日本人スタッフの負担を軽減できます。

また、意欲の高い若手人材が加わることで、既存の日本人従業員にも良い刺激となり、職場全体のモチベーション向上につながる効果も期待できます。

3. 助成金制度を活用してコスト負担を軽減できる

外国人労働者を雇用する企業は、一定の要件を満たすことで様々な助成金を活用できます。主な助成金制度には以下のようなものがあります。

**人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)**では、外国人に配慮した就労環境を整備するための経費を支援してもらえます。外国語での社内マニュアル作成や、通訳の配置などにかかる費用が対象となります。

キャリアアップ助成金では、非正規雇用から正社員への転換を行った場合に助成金を受け取ることができます。外国人材を長期的に育成し、正社員として雇用する企業に適しています。

人材開発支援助成金は、外国人労働者に専門的な知識や技能習得のための訓練を実施する際の費用を支援するものです。

これらの助成金を活用することで、外国人材の受け入れにかかる初期費用や教育コストを抑えることができます。

4. 訪日外国人への対応力が向上する

外国語が堪能な外国人材を採用することで、訪日外国人への対応力が飛躍的に高まります。日本政府観光局のデータによると、2024年の訪日外国人数はコロナ前の水準を超えて回復しており、今後も増加が見込まれています。

特に宿泊業、飲食業、小売業では、外国語対応ができるスタッフがいることで顧客満足度が向上し、外国人観光客を新たな顧客層として開拓できます。英語だけでなく、中国語、ベトナム語、タガログ語など、様々な言語に対応できる人材を揃えることで、競合他社との差別化にもつながります。

また、外国人材は母国の文化や習慣に精通しているため、外国人顧客のニーズを的確に理解し、適切なサービスを提供できるという強みもあります。

5. 新しいアイデアと多様性で組織力が強化される

外国人労働者は、日本とは異なる文化や価値観の中で育ってきたため、日本人にはない独自の視点やアイデアを持っています。多様な価値観が共存する職場環境では、新しい発想が生まれやすくなります。

商品開発やサービス改善において、外国人材の意見を取り入れることで、これまでにない革新的なアイデアが生まれる可能性があります。また、グローバル市場を視野に入れた事業展開を考えている企業にとって、外国人材の存在は大きな強みとなります。

さらに、ダイバーシティ(多様性)を推進する企業として社会的な評価も高まり、企業ブランドの向上にもつながります。多様な人材が活躍できる環境を整えることは、今後の企業成長において重要な要素となっています。

【従業員目線】外国人材受け入れのメリット

外国人材の受け入れは、経営者だけでなく現場で働く従業員にとってもメリットがあります。

1. 業務負担が軽減され働きやすい職場環境になる

人手不足の職場では、一人ひとりの業務負担が大きくなり、残業や休日出勤が常態化しているケースも少なくありません。外国人材が加わることで人員が増え、業務を分担できるようになります。

特に介護現場では、外国人介護人材が身体介護や生活援助を担当することで、日本人スタッフはより専門性の高い業務や精神的なケアに集中できるようになります。業務の分担が進むことで、スタッフ一人ひとりの負担が軽減され、働きやすい職場環境が実現します。

2. 夜勤や体力仕事の分担ができる

20代から30代の若い外国人材は、体力を必要とする業務や夜勤にも意欲的に取り組む傾向があります。日本人スタッフの高齢化が進む中、若い外国人材が体力を要する業務を担当してくれることで、年齢の高いスタッフの負担を軽減できます。

特に介護施設や病院での夜勤、建設現場での重労働、製造業でのライン作業など、体力が求められる業務で外国人材が活躍することで、日本人スタッフは自分の体力や年齢に合った業務に専念できるようになります。

3. 新しい価値観に触れて視野が広がる

外国人の同僚と一緒に働くことで、異なる文化や考え方に触れる機会が増えます。これまで当たり前だと思っていた日本の働き方や習慣を、客観的に見直すきっかけにもなります。

例えば、家族を大切にする文化を持つフィリピン人の価値観に触れることで、ワークライフバランスについて改めて考える機会になるかもしれません。また、外国人材の積極的なコミュニケーションスタイルから学ぶこともあるでしょう。

異文化交流を通じて視野が広がることは、個人の成長にもつながります。

4. 職場に活気が生まれモチベーションが上がる

若くて意欲の高い外国人材が職場に加わることで、職場全体の雰囲気が明るくなります。外国人材の多くは明るくフレンドリーな性格を持っており、積極的にコミュニケーションを取ろうとします。

特にフィリピン人は、ホスピタリティ精神が高く笑顔で周囲と接するため、職場の雰囲気づくりに好影響をもたらします。新しい仲間との交流は、マンネリ化していた職場に刺激を与え、日本人スタッフのモチベーション向上にもつながります。

【経営者目線】外国人労働者を雇用する5つのデメリット

メリットがある一方で、外国人労働者の雇用には以下のようなデメリットや課題も存在します。

1. 採用から就労開始までに時間がかかる

外国人材を海外から採用する場合、就労開始までに相応の時間がかかります。在留資格の申請、ビザの取得、渡航手配など、様々な手続きが必要となるためです。

特定技能での採用の場合、相談・面接から書類手続き、入国・就労開始まで、一般的に約3か月から8か月程度かかります。国内在住の外国人を採用する場合でも、在留資格の変更手続きに1〜2か月程度を要します。

「すぐに人材が欲しい」という場合には、この期間がネックになることがあります。計画的に採用活動を進め、余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。

2. 在留資格の手続きが複雑で専門知識が必要

外国人を雇用する際には、日本人の採用とは異なる複雑な手続きが必要です。在留資格の種類によって働ける業務内容が異なるため、自社の業種で雇用可能な在留資格を正確に理解する必要があります。

また、在留資格の更新や変更、在留期間の管理など、継続的な手続きも発生します。これらの手続きには専門知識が必要で、書類の不備や漏れがあると、審査に時間がかかったり不許可になったりするリスクもあります。

万が一、就労が認められていない外国人を雇用してしまった場合、企業は不法就労助長罪に問われる可能性があります。自社だけで対応するのが難しい場合は、申請取次行政書士や登録支援機関など、専門家への依頼を検討する必要があります。

3. 支援体制の整備にコストと労力がかかる

特定技能1号の外国人を雇用する企業には、義務的支援の実施が求められます。具体的には、事前ガイダンスの提供、住居確保の支援、生活オリエンテーション、日本語学習の機会提供、定期的な面談など、多岐にわたる支援が必要です。(※5)

これらの支援を自社で実施する場合、人的リソースと時間を確保する必要があります。登録支援機関に委託する場合でも、月額2〜5万円程度の費用がかかります。

また、住居の準備、家具・家電の用意、銀行口座開設のサポート、市役所での手続き代行など、生活面での支援も必要となり、初期費用と継続的なコストが発生します。

4. 文化や価値観の違いでトラブルのリスクがある

外国人労働者は、日本とは異なる文化や価値観の中で育ってきたため、働き方や考え方の違いからトラブルが発生する可能性があります。

例えば、日本では仕事が終わっていなければ残業するのが当たり前と考えられていますが、多くの国では定時で帰宅するのが普通です。家族を何よりも優先する文化を持つ国の人材は、家族の用事があれば仕事を休むことを当然と考えます。

また、時間に対する感覚の違いもあります。日本ほど時間厳守を重視しない文化の国もあり、遅刻に対する認識のずれがトラブルの原因になることもあります。

こうした文化や価値観の違いを理解せずに日本の常識を押し付けてしまうと、外国人材との関係が悪化し、早期離職につながるリスクがあります。

5. 転職されるリスクがある(特定技能の場合)

特定技能の在留資格で雇用した外国人は、同一分野内であれば転職が可能です。より良い条件を提示する企業があれば、転職してしまう可能性があります。

せっかく時間と費用をかけて採用し、業務を教育しても、転職されてしまえばその投資が無駄になってしまいます。特に都市部では、外国人材を巡る企業間の競争が激しく、給与や労働条件で他社に劣ると、人材が流出するリスクが高まります。

外国人材の定着率を高めるためには、適切な労働条件の提供、働きやすい環境の整備、キャリアアップの機会提供など、長期的な雇用を見据えた取り組みが必要です。

【従業員目線】外国人材受け入れのデメリット

現場で働く日本人従業員にとっても、外国人材の受け入れには以下のような課題があります。

1. 言葉の壁でコミュニケーションに苦労する

日本語能力が十分でない外国人材とのコミュニケーションには苦労することがあります。特に業務開始直後は、日本語での意思疎通がスムーズにいかず、指示を理解してもらえなかったり、逆に外国人材の質問や相談を理解できなかったりすることもあります。

言葉の壁は、業務効率の低下だけでなく、安全面でのリスクにもつながります。緊急時の指示や注意事項が正確に伝わらないと、事故や怪我につながる可能性もあります。

コミュニケーションの問題を解決するためには、わかりやすい日本語を使う、図や写真を活用する、専門用語を避けるなど、日本人側の工夫も必要です。

2. 業務の教え方や指導方法に工夫が必要

日本人に対する指導方法が、そのまま外国人材に通用するとは限りません。「見て覚えて」「空気を読んで行動して」といった暗黙の了解や察する文化は、多くの外国人には理解しづらいものです。

外国人材に業務を教える際は、具体的に、明確に、言葉で説明する必要があります。また、一度教えただけでは理解できないこともあるため、繰り返し説明したり、実際にやって見せたりする工夫も必要です。

さらに、人前で叱ることを非常に嫌う文化を持つ国の人材もいます。注意や指導が必要な場合は、他の人がいない場所で優しく説明するなど、文化的な配慮も求められます。

3. 文化や習慣の違いで戸惑うことがある

食事の制限(宗教上の理由など)、祈りの時間、家族行事の優先度など、文化や習慣の違いに戸惑うこともあります。イスラム教徒の場合、豚肉やアルコールを避ける必要があり、職場での食事会や懇親会での配慮が必要になります。

また、仕事に対する考え方の違いも戸惑いの原因になります。日本では「チームのために自己犠牲も厭わない」という価値観が美徳とされることがありますが、個人主義が強い文化の国では理解されにくいこともあります。

こうした違いに戸惑いながらも、お互いの文化を理解し尊重する姿勢が、良好な関係を築くために重要です。

4. 最初は日本人スタッフの負担が増える

外国人材が入社した直後は、業務の指導や生活面でのサポートなど、日本人スタッフの負担が一時的に増えます。言葉の壁があるため、通常よりも丁寧に教える必要があり、時間もかかります。

また、日本での生活に慣れていない外国人材からは、銀行口座の開設、携帯電話の契約、病院の受診方法など、様々な生活相談が寄せられることもあります。

しかし、この最初の負担を乗り越えて外国人材が戦力として育てば、長期的には業務負担の軽減につながります。初期の教育期間は投資と捉え、根気強くサポートすることが大切です。

外国人労働者受け入れで注意すべき3つの問題点

外国人労働者を受け入れる際には、以下の3つの問題点に特に注意が必要です。

1. 差別やハラスメントの防止

外国人労働者が日本の職場で差別やハラスメントを受ける事例は、残念ながら存在します。言語や文化に関する陰口、仕事の割り振りの不公平、意見や提案の軽視など、様々な形での差別が報告されています。

差別行為は人権侵害にあたり、絶対に許されません。企業は、全従業員に対して異文化理解の研修を実施し、差別のない平等な職場体制を整備する責任があります。

また、外国人労働者が相談しやすい窓口を設置し、問題が発生した際には迅速に対応できる体制を整えることも重要です。

2. 長時間労働・低賃金の防止

外国人労働者も日本の労働基準法で保護されており、適切な労働時間、賃金、休憩が保障されています。また、日本には「同一労働同一賃金」の原則があり、同じ仕事をしていれば、外国人であっても日本人と同等の賃金を支払う義務があります。(※6)

一部の企業では、外国人労働者に対する長時間労働や低賃金雇用が見られますが、これは明確な法律違反です。企業は、外国人労働者であっても日本人と同等の条件で雇用し、差別のない公正な労働環境を提供しなければなりません。

3. 法的リスクの管理

外国人雇用における法的リスクには、オーバーステイ、労働基準法違反、ハラスメントや差別の訴訟などがあります。

オーバーステイとは、外国人が在留資格で定められた期間を超えて日本に滞在する状態を指します。事業主がオーバーステイ状態にある外国人を知らずに雇用してしまった場合でも、不法就労助長罪に該当し、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。

外国人労働者を受け入れる企業は、在留カードの有効期限を定期的に確認し、更新手続きを確実に行うなど、法的リスクを管理する体制を整える必要があります。

日本人採用と外国人採用の費用対効果を徹底比較

外国人材の採用を検討する際、気になるのが費用面です。ここでは、日本人採用と外国人採用の費用対効果を比較します。

初期採用コストの比較

就職みらい研究所の「就職白書2020」によると、日本人の中途採用1人あたりにかかる採用コストの平均は103.3万円でした。(※7)

一方、外国人材を採用する場合のコストは、採用ルートによって異なります。

海外在住の外国人を採用する場合は、人材紹介手数料、渡航費用、在留資格申請費用などで約100〜150万円程度かかります。

国内在住の外国人を採用する場合は、住居準備費用が発生するケースで約62.5万〜128万円程度となります。(※7)

初期採用コストだけを見ると、日本人採用と外国人採用で大きな差はありません。ただし、外国人採用の場合は、在留資格の手続きや住居確保など、日本人採用にはない準備が必要となります。

3年間の総コストシミュレーション

3年間の雇用を想定した総コストを比較してみましょう。

日本人中途採用(1人あたり)

  • 初期費用:103.3万円
  • 年間給与:400万円(3年間で1,200万円)
  • 総額:約1,303万円

特定技能外国人(1人あたり)

  • 初期費用:100〜150万円
  • 年間給与:350万円(3年間で1,050万円)※日本人と同等以上が原則
  • 登録支援機関委託費:年間50万円(3年間で150万円)
  • 総額:約1,300〜1,350万円

(※7)

このシミュレーションでは、3年間の総コストはほぼ同等となります。ただし、実際の給与水準は業種や地域によって異なるため、あくまで目安として参考にしてください。

重要なのは、単純なコスト比較だけでなく、若い労働力の確保、夜勤・体力仕事への対応力、職場の活性化といった定性的なメリットも含めて総合的に判断することです。

採用スピードと即戦力性の違い

日本人の中途採用の場合求人掲載から内定まで平均2〜3か月入社から戦力になるまで1〜3か月程度かかるのが一般的です。

外国人材の場合国内在住者であれば1〜2か月で採用可能ですが、海外在住者の場合は3〜8か月程度かかります。ただし、特定技能の場合は技能試験合格済みのため、即戦力性が高いという特徴があります。(※7)

採用までの期間は外国人材の方が長くかかる傾向がありますが、計画的に採用活動を進めれば、質の高い人材を安定的に確保できるメリットがあります。

外国人材を上手に活用するための5つのポイント

外国人材を受け入れる際に成功するためのポイントを5つ紹介します。

1. 登録支援機関などの専門家を活用する

外国人雇用の手続きや支援は複雑で、専門知識が必要です。自社だけで対応するのが難しい場合は、登録支援機関や人材紹介会社などの専門家を活用することをおすすめします。

登録支援機関は、特定技能1号の外国人に対する義務的支援を代行してくれます。事前ガイダンス、生活オリエンテーション、住居確保の支援、定期的な面談など、法律で定められた支援を確実に実施してくれるため、企業の負担を大幅に軽減できます。

また、行政書士と連携している機関であれば、在留資格の申請・変更手続きもスムーズに進められます。

2. 受け入れ体制を事前にしっかり整える

外国人材を受け入れる前に、社内の受け入れ体制を整えることが重要です。具体的には以下のような準備が必要です。

まず、全従業員に対して外国人材受け入れの目的や背景を説明し、理解を得ることが大切です。異文化理解の研修を実施し、差別やハラスメントのない職場環境を作る意識を共有します。

次に、業務マニュアルをわかりやすい日本語で作成したり、図や写真を多用したりするなど、外国人材が理解しやすい教材を準備します。必要に応じて、英語や母国語での資料も用意すると良いでしょう。

住居、家具・家電、生活必需品の準備も忘れずに行います。入社後すぐに安心して生活できる環境を整えることが、定着率向上につながります。

3. コミュニケーション方法を工夫する

外国人材とのコミュニケーションでは、以下のような工夫が効果的です。

わかりやすい日本語を使う:専門用語や業界用語、方言、略語を避け、標準的な日本語を使います。和製英語にも注意が必要です。

具体的に説明する:「適当に」「いい感じで」といった曖昧な表現は避け、具体的な数値や基準を示します。

視覚的な資料を活用する:写真、図、動画などを使って説明すると理解しやすくなります。

個別に注意する:人前で叱ることを嫌う文化の人材もいるため、注意や指導は個室で優しく行います。

定期的な面談を実施する:困っていることや不安なことがないか、定期的に確認する機会を設けます。

4. 文化や価値観の違いを理解し尊重する

外国人材の文化や価値観を理解し、尊重する姿勢が何より重要です。日本の常識を一方的に押し付けるのではなく、お互いの違いを認め合い、歩み寄る努力が必要です。

例えば、家族を最優先する文化を持つ人材に対しては、家族の用事で休む必要がある場合に柔軟に対応することで、信頼関係が深まります。

また、宗教上の配慮(食事制限、祈りの時間など)も必要です。お互いの文化を理解し尊重することで、多様性を活かした組織づくりが可能になります。

5. 長期的な人材育成の視点を持つ

外国人材を単なる労働力ではなく、長期的に育成するパートナーとして位置づけることが重要です。キャリアアップの機会を提供し、成長を支援する姿勢を示すことで、外国人材のモチベーションが高まり、定着率も向上します。

特定技能2号への移行支援、介護福祉士などの国家資格取得のサポート、管理職への登用など、明確なキャリアパスを示すことが効果的です。

長期的に働いてもらうためには、適切な労働条件の提供、働きやすい環境の整備、継続的な教育機会の提供が欠かせません。

ケアグローバルの特定技能人材受け入れサポート

ケアグローバルでは、外国人介護人材の採用から受け入れ後のサポートまで、一貫してお手伝いしています。

サービスの特徴

インドネシアとフィリピンから優秀な人材をご紹介

ケアグローバルが提携している日本語学校では、日本語検定N4レベルの教育に加えて、日本文化やマナー、介護現場で必要な専門知識、日本での生活に関する知識など、実践的なカリキュラムを提供しています。

介護資格を取得済みの学生が対象となるため、入社後すぐに戦力として活躍できます。募集人数の2〜3倍の人数を準備し、面接を通じて最適な人材を選んでいただけます。

安心のサポート体制

ビザ取得に必要な書類作成支援、入国後の空港送迎、市役所での手続き代行など、受け入れに必要なサポートを丁寧に行います。入社後も3か月に1度、スタッフが事業所を訪問し、定期的な面談でフォローアップを実施します。

トラブルが発生した際には迅速に対応し、外国人材と企業の双方が安心して働ける環境づくりをサポートします。

サポート内容

採用支援

  • 現地またはオンライン会議形式での面接手配
  • 候補者の事前選定と準備
  • 面接時の通訳サポート

入国手続き支援

  • ビザ取得に必要な各種書類作成
  • 在留資格申請のサポート
  • 入国スケジュールの調整

生活支援

  • 住居確保の支援
  • 銀行口座開設、携帯電話契約のサポート
  • 市役所での手続き代行
  • 生活オリエンテーションの実施

就労後のフォロー

  • 定期的な面談(3か月に1度訪問)
  • 日本語教育や介護技能向上のための研修支援
  • トラブル発生時の迅速な対応
  • キャリアアップ支援

費用感

外国人材の受け入れにかかる費用は、採用人数や支援内容によって異なります。詳しい費用については、お気軽にお問い合わせください。

人材不足でお困りの介護・医療施設の皆様は、ぜひケアグローバルにご相談ください。経験豊富なスタッフが、貴社に最適な人材の採用と受け入れをサポートいたします。

お問合せ先

まとめ:メリット・デメリットを理解して戦略的な人材確保を

外国人労働者の雇用には、人材不足の解消、若い労働力の確保、職場の活性化といった多くのメリットがあります。一方で、採用までに時間がかかる、手続きが複雑、文化の違いへの対応が必要といったデメリットも存在します。

重要なのは、これらのメリットとデメリットを正確に理解した上で、自社にとって外国人材の受け入れが適切かどうかを判断することです。

経営者目線では、長期的な人材戦略として外国人材をどう位置づけるか、費用対効果をどう評価するかが重要です。従業員目線では、最初の負担を乗り越えた先に得られる職場環境の改善や、新しい価値観との出会いに目を向けることが大切です。

日本の労働力人口は今後も減少が続き、2040年には働く人の12人に1人が外国人になると予測されています。外国人材の活用は、もはや特別なことではなく、これからの時代に必要な選択肢となっています。

専門家のサポートを活用しながら、受け入れ体制を整え、お互いの文化を尊重し合える環境を作ることで、外国人材は企業の大きな力となります。人材不足という課題を外国人材との協働により解決し、より強い組織を構築していきましょう。


【参考文献】 ※1 厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)」(2025年1月31日公表) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_50256.html

※2 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」(令和7年5月末時点)

※3 ケアグローバルパンフレット「人材不足という課題へ」

※4 内閣府「令和6年度年次経済財政報告」第2章 第3節 我が国における外国人労働者の現状と課題 https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je24/h02-03.html

※5 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」

※6 厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html

※7 就職みらい研究所「就職白書2020」 https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2020/06/hakusyo2020_01-48_up-1.pdf